迷 宮 旅 行 記

長距離のバス待つ君の人生はさておき旅はまだ先がある

海南島〈第7日〉

【五指山】


きょうは五指山を眺めるため水満郷という所に行く。

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朝、バスターミナルまで行くと、うまいぐあいに水満郷行きのマイクロバスが停まっていた(料金は8元)。

リュックやカメラを携えた人がちらほら。運転手が快活で「韓国人か? ああ日本人か。山登りか?」と声をかけてきた。


バスは南経という所を経由して上っていった。道路は完全に舗装されている。地元の人も乗ってくる。漢族と違い肌がやや浅黒く小柄にみえる。


1時間ほどで終点の水満郷に到着。


ここからのルートがよくわかっていなかったので、かなり迷ったが、オート三輪を改造した簡易タクシーが、五指山水満河熱帯雨林風景区という所まで運んでくれた。入場料は50元。


竹筒飯というものが売られていた。


刻んだ人参などを入れて味付けしたご飯がぎっしり詰まっている。腹ごしらえにちょうどよかった。10元したけどボラれたか。


専用カートで五指山(1867m)が見えるポイントまで。


この日は曇りで山は見えないよと言われていたが、きれいに見えた。

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そこから散策道があった。熱帯らしい樹木と沢の流れ。吊り橋があるところまでを往復。1時間半ほど。






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帰りはバス亭まで歩いた。途中、別荘地の開発が進んでいた。


バス停近くの集落。建物にリー族の伝統的な模様が描かれている。


ふたたびバスで市内に戻る。


ホテルに帰る前に、麺屋の並ぶ一角が気になっていたので、そこへ。

「海南粉、抱羅粉」と書いてある。大東海のホテルで食べた汁麺を期待したが、テーブルに来たのは、どろりとした濃い肉と刻んだザーサイ的なものをあんかけにした冷たい麺。あまりうまくなかった。麺はホテルで食べたのと同じ丸く太い米の麺。


ホテルに戻ったのは夕方。まだ明るいが一休み。


きょうは大晦日。ホテルのレストランで食事をゆっくり摂ることにした。団体客でけっこう賑わっていた。

メニューにリー族や苗族の料理のページがあり、鶏肉を独特の葉っぱと一緒に炒めたという料理が載っていたので、それを頼んだ。ネットで仕入れた情報も参考にした。葉っぱのせいか独特の苦味があり生姜の味も効いていて、うまかった。68元。

もう一品、野菜を食べようと思い、お勧めを聞いたら小黄瓜というのを示した。ごく小さいキュウリの形をした野菜。黄色いヒゲがついている。味付けがよく食感もよく、これもうまかった。26元。ご飯、お茶、スープ合わせ2人で100元ちょうど。


デザートに甘いみかんがたくさん出てきた。サービスだという。大晦日だから?


レストランに来る前、パソコン(MacBook)でMacホールTVというソフトを使い日本のテレビ番組を見てみると、ちょうど紅白歌合戦が始まる時刻で、少し見てからここに来た。


やがてレストランでは中国時間の19時半。ウェイトレスが食堂内のテレビのスイッチを入れると、若者向けらしい歌番組が始まった。豪華で派手な演出。

「跨年狂歓夜」というタイトル。あとでわかったが、これは中央電視台ではなく湖南省のテレビ局の番組。中国では大晦日に各地方のテレビ局が競ってこうした歌番組を放送するらしい。日本の紅白に倣ったものという。


部屋に戻ってからは、備え付けのテレビで、そうした中国各局の歌番組をザッピングしつつ、パソコン(MacBook)では紅白を流しておいた。中央電視台の歌番組は、やや落ち着いた伝統的ムードで、先ほどの湖南省のものとは趣きが異なるが、どうだといわんばかりの豪華なステージと演出、歌手や司会者の張り切りぶりは、同様だった。

これらは紅白を凌駕しているのではないか。中国の力を見せつけられた気がした。日本に対して中国は経済的にも社会的にも影響が大きいが、テレビ番組というカジュアルな分野でももはや無視できない存在になったということだろう。われわれは紅白さえ見れば年を越せたわけだが、これからは中国の大晦日のことも少し気にしないではいられなくなる。アジアの片隅に限定された情報だけでは1年の整理もできなくなるだろう。

一方で、中国の人は日本の文化を意識してくれているのだろうか。

おそらく彼らは中国全体を見渡すことで、それがもう世界全体のように感じるのではないか。なにしろ中国という自国が巨大であり多彩であり、おまけに中華思想もたぶん生きていそうだから。そうした事情はアメリカと似ているかもしれない

それに、そもそも現在の日本に、芸能や流行歌の分野で、中国を含めた海外のあちこちにわざわざお披露目し共感してもらえるもの、共感してもらいたいものは、そうたくさんはないように思う。

実際、パソコンの紅白に登場してくるのは、AKB48、嵐、スマップ、北島三郎和田アキ子五木ひろし、などなど。これはこれで日本独自の文化が花開いているわけだが、芸術と呼ぶにはなんだかショボイ。紅白歌合戦がショボいとしたらそれが根本の理由だろう。中国の自信満々の歌番組のほうが見ごたえがあると私には感じられた。

ただ、美輪明宏の「ヨイトマケの唄」だけは、ベッドに寝転がって半分眠りながら聞いたわりには、凄みがあって引き込まれてしまった。


日本より1時間遅れで0:00を迎えた。ベランダから外を見ると花火の打ち上げが最高潮に達しているようだ。しかしもう外出はせず、『他人の顔』を読んだり、バスタブにつかったり、『朝まで生テレビ』を見たりしながら、眠った。

























【多少銭?】