迷 宮 旅 行 記

長距離のバス待つ君の人生はさておき旅はまだ先がある

海南島〈第3日〉

【三亜 大東海】







朝起きると、テラスから海が見渡せた。天気予報は雨だったが、曇り。でもすぐに晴れてきて、あとは一日中太陽が照りつけた。


朝食はホテルのバイキング(今回の旅行はこればかり)。種類は少ない。独特の味の麺(米粉か)がうまかった。郷土料理だろうか。紫色の穀物の粥も食べた。


まず中国銀行へ。ホテルから歩いてさほど遠くないところにあった。

自動両替機械というものを初めて見た。パスポートをスキャンさせたあと日本円の紙幣を挿入すると中国元の紙幣と硬貨が出てくるのだ。ボタン操作ですべて完了。しかも英語、日本語、ロシア語と言語を選べ、音声ガイドまで入る。ただ、おかしなことに、これを私ではなく係員がすべてやってくれる。サービスが良いとなると無駄に過剰なのが中国式。

もうすぐ土日でそのあと正月なので、まとめて両替しておくことにする。1万円で約7000元のレートだった。2年半ぶりの円高傾向が響いている。(このとき1ドルは85円)


そのあと海岸に出た。はやくもすっかり熱くなった砂浜を歩く。ロシアの人と中国の人がこぞって海水浴している。水は冷たくない。折しも日本は例年にない大寒波に襲われているらしく、千葉は零下1度だとか。



大東海の近くに三亜市内を一望できる場所がある。海沿いの斜面を車も使いながら登っていく。頂上はきれいに整備され鹿回頭公園と名が付いている。午後はそこを散策した。

拡大


よい天気、よい眺めだった。


(↑クリックで拡大)



(途中までのタクシーは15元、公園入場料は1人45元)


時間は前後するが、上の場所に向かおうとホテルから出て歩き始めたところに、蘭州牛肉麺の店があったので、腹ごしらえした。



夫婦で経営しているようだ。主人は1978年青海省の生まれで、のちに海南島に来た。「回族か」と聞くと当然「そうだ」と言う。向こうも「日本人? ロシア人? 韓国人?」と聞いてきたので、「日本人」と答えると、尖閣で揉めていることがあってか、他の男が「なんで日本人が中国に?」みたいに尋ねてきた。しばし楽しく触れあう。

蘭州は甘粛省の町。昔、西安から敦煌ウルムチへ列車で旅したとき、蘭州にも滞在し名物の牛肉麺をよく食べた。以来「牛肉麺」の看板があるとつい足をとめてしまう。この店の味は本場と同じではないけれど、とてもうまかった。しかも10元と安かった。


夕食は、地元の人が行くような店を探したものの、界隈には見当たらず、ホテルのエリアにある野外の広いフードコートに腰を落ちつけた。豚肉とピーマンのぶつ切りの炒め、玉子とトマトの炒め、海鮮チャーハン、朝食べたのと同じ地元風味の麺、豆腐と青葉のスープ。合計で109元。



海南島は観光開発が急激に進みバブルに湧いている。それはどこを見ても実感できる。このフードコートも急ごしらえのものだろう。私たちが料理を頼んだ店は、たぶん麺が専門で他の料理はつけたしかと思われる。ふつうの中華料理をふつうに安く食べたいと、中国を旅行しているときの私はそれだけを願うのだが、いつもそれはなかなかかなわない。日本人の口に合いそこそこうまくてそこそこ安い中華屋は、自分が住んでいる日本の町のほうがはるかに見つけやすいのだ。毎度中国までやってきてそのことに思い当たる。


すっかり暗くなってホテルの部屋に戻ると、窓のすぐ下から大音量のカラオケ。隣接するレストランだ。大勢の人が食卓を囲んでいる。プロの歌手らしき男女と興がのってきた客とが交互に歌いまくっている。iPodの音楽をイヤフォンで聴くことにしてしのいだが、カラオケはさらに夜更けまでやまなかった。


「中国のハワイ」と異名をとる海南島で、海を眺めながら静かに正月を過ごす。そんな甘い期待だけを抱いてやってきたわけではない。どうせ中国式のビーチリゾート、いかなるものかと物見遊山のつもりだった。が、それにしても……




















【多少銭?】